アスベストが含まれている建物の解体工事をする場合

アスベスト問題をテレビなどのニュースで一度は見たことがあるかもしれません。
アスベストとは、天然鉱物の一種であり、非常に軽い物質です。
耐火性や断熱性に優れており、かつては断熱材、保温材や防音材として建築物に幅広く用いられてきました。
当時は「奇跡の鉱物」と言われるほど、建材以外にも家庭用品など多くの用途に使用されていました。
しかし、その後、アスベストを吸入することによって肺がんなどの悪性疾患が発生して、健康被害に及ぶことが分かり、今では、有害物として日本ではアスベストの使用は禁止されています。
かつて、1960年代の高度経済成長期は建設ラッシュとも言われ、非常に多くの家屋やビルなどの建物が建築され、まさにその時期に、アスベストが大量に使用されていました。
現在では、当時の建物は築年数も経過し老朽化などの様々な問題から、解体しての取り壊しや修繕の必要が生じています。
では、そのようなアスベストが含まれている建物を解体する場合、どのような手順で行われるのでしょうか?

現地調査を行う

解体工事業者が現地に赴き、現地調査を行いますが、その際にアスベストが含まれているかどうか確認します。

解体工事の届出

アスベストが含まれていることが分かった場合、指定されている届出先に必要書類を提出しなければなりません。
その書類の中には、工事計画届出書、特定粉じん排出等作業実施届出書や建築物解体等作業届などがあります。
アスベストが含まれている建物の工事に際して、危険度がレベルによって区分されており、その危険度レベルによって提出する書類が変わります。

近隣住民に知らせる

解体工事が行われること、アスベストが使用されている旨とその対策について説明する必要があります。
また、見やすい位置に掲示板を置くことで、近隣へ周知することができます。
その掲示板には、アスベストが含まれている建物を解体するにあたって、必要な届出を行っていることや対策の概要について説明を明示することになっています。
解体工事は、近隣住民の生活に短期間とはいえ影響を及ぼすことがあります。
まして、アスベスト含有の建物の解体工事であれば、洗濯物を外に干せない、窓を開けることができないといった不便をかけてしまうかもしれません。
そうした状況を考えると、近隣住民への挨拶は、誠実に丁寧に行なっていきたいものです。 上記の手順を踏んだ後に、解体工事が実施されていきます。 工事は、作業者がアスベストに関して、危険レベルに合わせた対応を行いながら進められていきます。

まとめ

自分や家族が住んでいる建物は、アスベスト含有ではないものの、その有害性を考えると、近隣で工事が行われるとなった場合、不安になるかもしれません。
しかし、そのような解体工事を行う場合には、守らなければならない規制があり、必要な手順を踏んで、工事がなされているということを心に留めておくとよいでしょう。
今後、そのような状況が自分の身の回りに生じた時に、上記にあげた情報を把握できていれば、落ち着いて対処できるかもしれません。