解体工事における不法投棄への対策~高槻市~

人目につかない場所にある空き地や畑、人家から離れた山に行くと「不法投棄禁止」の看板を見かけることがあります。
その中には、不法投棄防止のため「監視カメラ作動中」と書かれている看板もあります。
不法投棄を抑制させるための多くの対策がされているにもかかわらず、ゴミの不法投棄は後を絶ちません。
実際に、人の行き来が少ない山や林で、冷蔵庫、テレビやエアコンなどの家電製品が投棄されゴミが散乱している状態を見たことがあるという方も多いのではないでしょうか。
個人による家電製品や家庭ごみだけではなく、業者による解体工事などで排出される産業廃棄物の不法投棄もあります。
明らかに違法行為であるにもかかわらず、なぜ、不法投棄はなくならないのでしょうか。
解体工事などの工事現場で不法投棄が行われる理由を、工事業者の観点から考えてみましょう。

不法投棄が行われる理由

・見積金額を安くするため
不法投棄を行えば、産業廃棄物の処理にかかる費用を削減できるため、見積書を作成する業者側は他社よりも安い金額を施主に提示することができ、比較検討された際に有利になります。
・利益を増やすため
解体工事では、木材、鉄、コンクリートやアスファルトなどさまざまな種類の産業廃棄物が大量に発生します。
本来、それら産業廃棄物は定められた方法で処分しなければなりません。
そのため、家屋などの解体工事での費用の中には、廃棄物を処分するための処分場への代金や運搬費用などが含まれています。
もし、不法投棄を行えば、それら廃棄物処分に関連した費用をそのまま利益として得ることができるので、不法投棄が行われると考えられます。

不法投棄抑制のための対策

各自治体では、不法投棄の抑制のためにさまざまな対策をおこなっています。
一例として、大阪府高槻市のケースをご紹介します。
高槻市では、他の自治体同様に、解体工事に伴って生じる廃棄物の処理に関して条例や規制を設けていますので、その一部をご紹介します。
  • ・特定粉じん排出等作業の届出
    人々の健康を守り、大気汚染や生活環境保全のために必要です。
  • ・建設リサイクル法による届出
    特定建設資材廃棄物の分別、再資源化をするために工事着手の7日前までに届け出が必要です。
  • ・マニフェストを交付
    産業廃棄物の運搬先、引き渡しなどを明確にするために必要です。

まとめ

解体工事での不法投棄の現状と大阪府高槻市の対策の一部をご紹介しました。
不法投棄は一般の家庭ごみにとどまらず工事現場で排出されるものもあり、深刻な問題となっています。
解体工事を依頼する側である私たちにとって、少しでも解体費用を抑えたい、出費は少ないほうが良いと感じるのは自然なことです。
しかし、不法投棄を行う理由について考えると、金額だけで業者を決めてしまうのではなく、廃棄物の処理方法についてもよく確認する必要があると感じます。
もちろん、安い金額を提示する業者の中にも、適正な処分を行っている誠実な業者もいることでしょう。
数多くある解体業者の中から正しい選択をするためには、よく業者と話し合い、分からないことは質問するなどして、その都度調べたり確認したりすることが大切です。
そうすることで、自分や家族にとって信頼できる解体業者を見つけられるのではないでしょうか。